日本、レールガン(電磁加速砲)の研究開発本格着手 [ニュース]
日本政府はレールガン(電磁加速砲)の研究開発を本格的にスタートし、来年度の防衛省の予算にレールガンの関連経費を計上する方針を決めたそうです。
レールガンはアメリカ政府が先行して開発を進めている兵器で、電磁誘導を利用して弾丸を加速させ、超高速で打ち出すものです。
具体的には、砲口以外が密閉された筒の中にある、伝導体の役割を持つ2本のレールの間に、電気を通す素材でできた弾丸をセットし、レールに電気を流すことで電気回路(電磁誘導を発生させるためのもの)を形成させ、弾丸をその流れに乗せることで加速させ、打ち出す、というものです。
電気回路と電磁誘導は中学の理科で習う程度の原理で、発電機や変圧器などにも利用されており、多くの電子機器にとってメジャーなものです。
レールガンは火薬式の武器・兵器より発射時のエネルギーロスが少なく、さらに、砲身が長ければ長いほど加速させることが可能で、その分射程距離も大きく伸びます。
また、その直進性が高い超高速の弾丸は、大量の運動エネルギーにより、小さくても大きな破壊力を発揮することが可能です。
そのため、大砲の代わりや弾道ミサイルの迎撃に利用可能で、アメリカはこのレールガンを"戦いを変える革新的な兵器"と見なしています。
ちなみに、アメリカ海軍が開発中の最新型レールガンは、射程距離200㎞でマッハ7以上の弾丸を毎分10発撃つことが可能だそうです。
さて、なぜ日本がそのようなレールガンの開発研究を本格的にスタートすることにしたのでしょうか。
日本が最初にレールガンを作ろうとしたのは第二次世界大戦の時で、その時は結局実現することができませんでした。
その後、レールガンを実現できる素材や技術が揃い始め、アメリカが早くも実証実験までもっていきました。
この時、防衛省は平成27年度の概算要求としてレールガンに関する研究費用の申請をしていました。
アメリカはレールガンの実用化までにあと5〜10年というところまできています。
レールガンは、その有用性から、これからの防衛上必要になるものとみられています。
しかしながら、現状、日本の自衛隊にレールガンを導入するにはアメリカの技術協力が必要だとされています。
そして、その協力を得るためには、こちらにもそれなりの基礎技術が必要だと判断されました。
そのため、日本政府は知識と技術の蓄積を図るためにレールガンの独自開発をすることに決めたのです。
レールガンの基礎原理は、宇宙事業などにおいても非常に利用価値があるものとされています。
研究開発、十分な予算のもと頑張ってほしいですね。
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