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政府、残業時間の上限見直しへ。~労働と雇用問題~ [雑感]





最新の消費者物価指数がわずかに減少に転じた中、いよいよプレミアムフライデー(月末金曜は15時退社)の開始が近づいてきましたね。
残念ながら、これの恩恵を受けられる人々は限られていますが、少しでも消費が増えると良いですね。

この制度の狙いは消費増大が主な狙いですが、少なからず労働時間とも関わってきます。

現在、日本の労働時間に対する生産性は先進国の中では少し低いとされています。

主な理由は、時間あたりの賃金の安さの平均が低いことや、労働時間自体の長さにあります。

一人に降りかかる仕事の量も多い場合が多々あるため、残業をする方もいます。
(一部には、残業することで仕事をしているように見せる方や、自分の仕事が終わっても他人の手伝いをしなくてはならない方もいますが)

昨年は、電通の過労事件が大きく話題になりましたね。

その後の顛末を見ても分かる通り、残業をするのは良いことだ、などという価値観はすでに変わりつつあります。

時代がさらに進んだ今、人生を仕事に捧げるという生き方が正しい、という観念はもう終わりつつあります。

さて、そのような仕事・残業に対する意識変化が進む中、政府は、残業時間の上限を新たに変えることにしました。

事実上無制限残業を可能にする、労働者に不利な面が多い、36協定を見直し、労使間でこの協定を結んだ場合でも、残業時間の上限を年720時間、月平均60時間で調整するとのことです。

もし、上限が月平均60時間となった場合、1日の残業時間はどのようになるのでしょうか。

週5日勤務で月20日間仕事のとき、毎日残業したとすると、1日あたり3時間の残業となります。
また、毎月20日間仕事、毎日3時間の残業でちょうど年上限720時間となります。

次に、週6日勤務で月24日間仕事のときでは、1日あたり2時間半となります。
こちらも、同じように、毎月24日間仕事、毎日2時間半の残業で年上限720時間となります。

これが長いか短いかは人それぞれ、業種それぞれだと思いますが、私はそれでも長いと思います。

今の労働時間が長すぎる問題を、雇用問題と関連して考えるならば、労働時間を短くしたり、フレックス制を正しく導入することが必要不可欠です。

今の日本国内の経済規模から言えば、長い労働時間は、仕事量の総量に対する個人の仕事量を増やすため、より多くの人が仕事をする機会を阻害します。

つまり、長時間労働は、現在の経済状況において、長期的に見て、雇用の総量を減らす効果があります。

そのため、一回の労働時間を短くし、1日の仕事を多くの人でまかなうフレックス制のような労働形態のほうが雇用回復には効果的です。

雇用が回復すれば消費能力のある人が増えますので、消費は上向きになりやすくなり、また、働き口が増えることにより、今年最高値を更新した生活保護などの社会保障から自立できやすくなり、社会保障費の軽減にもつながります。
※ただし、法や理念のもと、利益を労働者に還元できる社会環境の場合に限る。

ただ、注意しないといけないのは、働き手が増えるということは、給与の総量がより多くの人に分散するということを意味しているということです。
つまり、給与が高い人の収入は今より減少し、その減少分が、給与の低い人に流れるため、貧富の格差は縮まるものの、これによって金銭的に余裕のある生活ができるかは分からないということです。

これは、多数の低所得者層と、ある程度の高所得者層がある社会を目指すか、一部の利権追及者以外中所得者層の社会を目指すかの違いです。
※資本主義・社会主義とは少し異なります。

また、何の法整備もなされなかった場合、今の日本の環境では、労働者が増えることによる労働力の安値化、労働市場の競争が今より激しくなる可能性があります。

もちろん、景気が大きく上向くというのも難しいです。

しかし、景況感の改善には確実につながります。

実際に、フランスやドイツなどはフレックス制を効果的に導入し、日本より少ない労働時間(1日6時間程度)で生活しています。

特にドイツは労働時間に対する罰則が厳しく、抜き打ち検査もあります。
そのため、自主的に従業員の労働時間を短くしようとする企業が多いです。

日本で労働時間の短縮やフレックス制を行う場合の課題は、仕事量の調整、人件費や低賃金、業種により働き手がいないというものですが、いずれも企業の姿勢、努力次第でどうとでもなる問題です。

例えば、従来の企業とは異なる視点で労働環境を整え、売上を上げていることで少し話題になった未来工業は、残業を禁止しています。

給料は年功序列式ですが、基本的に平均以上の額です。
会社は、社員にはメリハリをもたせて仕事させ、比較的高い給料や良い待遇で働ける環境を整えています。

そして、社員のことは「人材」ではなく「人財」と呼んでいます。

もちろんこの企業だから成功しているというのはあると思います。

しかし、このような努力をしない企業が"良い"働き手を得られるでしょうか?

恐らく得られないでしょう。

多くの上手くいかない企業や経営者、管理職は、甘い汁を吸いつつ、業務を人任せにして、問題を先送りにしがちだった人です。

自らの利益しか見えない頑固なやり方が失敗を招き、それの積み重ねが業績に表れています。

そして、そのような失敗をしてしまう人々は、市場が、コストが、社員が、などと言い、あのバブル崩壊の時のように、本当の失敗の原因を見逃してしまいます。

今こそ、経営に携わる人々は、企業の存続と、長期的な利益のためにも、最も成長する可能性がある人財に目を向ける時期ではないでしょうか?

今の労働環境を作ったのはそこで働いていた人々の意識です。

意識改革こそ、今の日本の労働問題を解決するのに大切なことです。

そして、ここまできてしまった労働問題を解決するには、意識改革を強制的に起こさせる法律が必要です。

今回は残業時間の上限に関するものでしたが、これ以上の、さらなる強制力、効力をもった法律の制定こそが将来の日本の労働環境、ひいては、経済を救うと思います。



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