政府、長時間労働へのメス入れ検討 [ニュース]
政府は、今月中にも「働き方改革実現会議」を発足し、現行の36協定の見直しなど、長時間労働の改善を行っていくことを検討しているそうです。
以前、厚労省が発表した、2015年度の労災状況によると、長時間労働は依然続いており、過去最悪レベルの過労死数が続いている状況です。
精神疾患が認められた労働者のうち、192人には過労死ラインと言われる月80時間以上の残業があり、さらに、そのうちの65人は160時間以上もの残業をしている状況でした。
現行の労基法において、雇用主と被雇用者の間で労使協定を結べば、法定残業時間を超えても残業が可能です。
この協定は、通称「36協定」と呼ばれています。
36協定とは、労働基準法36条にある労使協定で、それは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働を行う場合、会社と労働者側が協定を結び、労働基準監督署に届け出る、というもので、届け出をしなかったりといった違反をした場合、労働基準法違反(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)となるものです。
この協定の恐ろしいところは、事実上、無制限の残業を可能にする点です。
厚労相の告示で残業時間の上限を月45時間と定めてはいますが、この上限は、労使が例外規定の「特別な事情」に関して合意すれば守らなくて良くなります。
つまり、労使が"合意"を結べば、会社はいくらでも労働者を働かせることができるのです。
しかし、合意がある上での約束だからといって問題がないわけではありません。
実際、協定とは言え、基本的に会社のほうが立場が強く、労働者側は、やむなくこの協定を結ばされることがあります。
また、会社と労働組合が結ぶときも、正当・対等と言えないような事情が背景にある場合があります。
現実を見ると、会社が残業を命じたとき、労働者側にはそれを断るすべがないことがほとんどです。
さらに、政府の見解では、長時間労働により、少子化や男性の家庭参加が阻まれているともみられています。
そのため、政府は現行の36協定の見直しを含めた労働改革を行うための会議を発足しました。
対策としては、上限を超える残業の原則禁止や罰則強化、制度の具体化などが行われるとのことです。
来年3月には方向性を示すとのことです。
同一労働同一賃金もそうですが、労働関係の改善・改革は"きちん"とどんどん行っていってほしいですね。
特に、現代のような大企業が強い時代ではなおさらです。
多くの労働者のために正しい改革が行われることを期待しています。
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